今後の戸建て賃貸ビジネスを考えるためのDATA

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全宅連
「2019年 住宅の居住志向及び購買等に関する意識調査」
賃貸派の意識を探る4つのデータ

 今回は、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)および公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)が、毎年9月23日の「不動産の日」にちなんで、持ち家派と賃貸派の意識や、不動産の購入意向などについて調査し、2万人以上から回答を得たデータをご紹介します。戸建て賃貸を借りる人たちの考えや好みがわかります。

賃貸派が2割近くまで増加中

 持ち家か賃貸か──。家にまつわる最大の問題ですが、この調査では、平均でだいたい2割が賃貸派という結果に。他の調査を見ても、このぐらいの比率が多いようです。ただ、5年間の推移で見ると、現在のように低金利で持ち家が比較的買いやすい環境にありながら、賃貸派が5%ほど増えてきています。

 年代別に見ると、40代・50代で賃貸派が22%ほどと他の年代より多く、一生賃貸派の増加がうかがえます。地域別には北海道が約25%と賃貸派が多くなっており、関東と九州・沖縄も20%を超えています。

 ちなみに持ち家派のうち戸建て希望は8割と圧倒的です。賃貸派では戸建て希望が2割弱と少なくなっています。これは物件の少なさが影響していそうです。

◆賃貸派 or 持家派の推移
賃貸派 or 持家派の推移

経済的&変化リスクを考えて「賃貸派」に

 では、賃貸派の人たちはなぜ持ち家より賃貸がいいと考えているのかというと、住宅ローン+税金と経済的に束縛されることと、天災・転勤・家族構成などの変化に対応しにくいことが上位に来ています。特に出産や転勤、親との同居などが視野に入ってくる30代はいずれの数字とも高くなっています。

 逆に持ち家派の理由は、1位:家賃を支払い続けることが無駄に思えるから 53.5%、2位:持家を資産と考えているから 32.1%、3位:落ち着きたいから 28.5%と、安定が大きな理由となっていることがわかります。

◆賃貸派である理由(3つまで選択可)
賃貸派である理由(3つまで選択可)

賃貸派は家自体の質より家賃と環境重視

 賃貸派の人たちが借りる家を決めるポイントも聞いています。家賃が突出して1位ですが、他を見ると、間取りや日当たり、住宅性能といった家自体の質よりも、交通の利便性(駅近や商店の近くなど)や周辺環境といった、生活環境が重視されていることがわかります。

 年代別では、若いほど家賃と環境の数字が高くなっています。特に20代では、家賃を重視する人の割合が60代よりも20%以上高くなっています。逆に年代が高くなると、家自体の質を重視する傾向があります。地域別では、都市圏で交通の便の重視率が高くなります。

◆住宅を借りるポイント(3つまで選択可)
住宅を借りるポイント(3つまで選択可)

求める住まいのタイプは近距離別居

 最後は、賃貸派・持ち家派問わず、どんな住まいがいいのか、理想像に関する調査を見てみます。一時期ブームのように増えた二世帯住宅が減り、近距離別居が増えたと言われますが、「親世帯と子世帯が近い距離で暮らせる住環境」が1位になっています。意外にも、20代・30代で特に高い数字です。「田舎での生活など自然のある住環境」も人気で、全年代で高い数字です。

 賃貸向きの「好きなときに転居しやすい住環境」が3位で、年代や地域を問わず人気ですが、特に20代にはこの回答が1位となっています。

◆住まいに対する考え(複数回答)
住まいに対する考え(複数回答)

賃貸ビジネスNEWS

部屋にいながら賃貸
新型肺炎で広がるオンライン業務

 新型コロナウイルスにより先が見えない状況が続いています。株式会社LIFULL が3月上旬、不動産会社に行った調査によると、9割の会社が将来に不安を感じ、来店者や内見者の減少がすでに起こっているという結果が出ました。今回はその影響による変化を紹介します。

新築は深刻な影響が出ている

新築は深刻な影響が出ている
「現時点で~出ていますか?」
に対する「あてはまる」の回答
(全体、業界別)
 特に新築への影響は深刻です。中国をはじめ海外からの資材が届かず工事が止まったり、投資家・消費者の買い控えで物件が全く動かない状況です。

 LIFULLの調査でも、賃貸仲介や賃貸管理に比べ、売買仲介や、特に売買分譲は影響が大きいことがうかがえます。今ならさらに差が顕著でしょう。

 しかし賃貸でも、なるべくオンラインで進めるべく、さまざまな不動産テックのサービスが登場しています。

自宅で楽々オンライン内見

自宅で楽々オンライン内見
ハウスコム|オンライン内見
https://www.housecom.jp/online/
 今や物件相談まではオンラインが当たり前になっています。さらに内見を自宅でというのが、不動産賃貸会社のハウスコムや、LIFULLが推進する「オンライン内見」。借り手は自宅でスマホを見ながら、現地にいる不動産会社のスタッフと会話し、より詳しく見たい部分を指示ながら内見を進めます。もっと進めて、動画やVR動画を自宅など好きな場所で見ることで、現地での内見の代わりにする方法も出てきています。

契約やローン申し込みまで在宅で

 アメリカではすでに不動産契約の9割が電子化されていると言われますが、日本でもIT重説だけでなく、その前の物件の申込受付、契約までオンラインで自宅で行うサービスも出てきています。たとえばイタンジの「CLOUD CHINTAI」では、賃貸契約を完全Web化、来店不要で契約締結できます。他にも申込から審査までオンラインで完結する「Mortgage Gateway」という住宅ローンも登場、すべて自宅でという時代も近そうです。

YCY News

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