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住宅建築の3フェーズ

【連載33】住宅建築の3フェーズ

 洋館家グループでは高齢化社会に対応し、高齢者向け平家商品を積極的に展開していきます。これは戸建賃貸事業とは別ですが、「高品質低価格住宅の供給」という点では同じ考え方に立っています。
 人が家を持つ=住宅を建てる・購入する際には、その時点の状況を踏まえて検討します。多くの人は、結婚し子供が生まれ、育つまでのことを考えて家の大きさや間取りを考えます。育ち盛りの子供がいる時期に、住まいの購入を考える人も少なくありません。いずれにせよ、「夫婦+子供」という家族形態を前提とした住まいの建築あるいは購入です。
 しかし、時を経れば子供たちは独立して家を出ていきます。いまは核家族が当たり前ですから、子供が成人した後に家族数が増えるという家はほとんどありません。夫婦二人で暮らす、そう考えたとき、子供たちがいることを前提とした住まいというのは、広すぎて使い勝手が悪くなります。ふだんは夫婦二人暮らしで、たまに子供たちが来るというのであれば、2DKで十分です。住まいづくりの第2フェーズを迎えたわけですから、ここで住み替え・建て替えが望まれます。
 さらにもっと進んで、夫婦どちらかが欠けて一人になることも想定しなければなりません。その場合は、独居用の暮らし方とそれにあった住まいが必要なはずです。第3フェーズに最適な住まいを選ぶことが、快適な老後となるわけです。
 本当はこのように、3つのフェーズに応じた住まいづくりこそが快適な暮らしとなるわけですが、現実にはそうなりません。なぜなのか。それは、第1フェーズの住まいにお金がかかりすぎるのです。50年持たない住まい、持ったとしても歳を取ったら住み心地が悪くなっているであろう住まいに、多くの人は一生分のお金をつぎ込んでしまっているわけです。
 私たちが追求する「高品質低価格住宅の供給」は、このような不合理を解決するための取り組みでもあるのです。耐震や省エネなどの要件をクリアするために、住宅のコストは年々増加しています。一方で、格差社会が進行し多くの人々にとって住宅にかける費用はどんどん少なくなっていると言えます。社会と住宅産業が抱える構造的な問題を、私たちが克服するのは並大抵のことではありません。しかし志は持っていたい。そのような志の第一歩が、老後を意識した建て替えを、少しでも負担が少なく品質の良いものを提供しようという、私たちの「高齢者向け平家商品」の取り組みなのです。